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SPAIN-TEXTILESイビサとスペインの幸せなつながり

イビサのルーツ、スペインは多様な文化が融合した情熱的なラテンの風土。数多くの独創的な芸術家を生み出していることでも知られるように、アーティスティックな感性がライフスタイルにも影響を与えています。スペインならではの印象的な柄のテキスタイルを主役にした、心浮き立つシリーズをご紹介いたします。

イビサとスペインの幸せなつながり

他にはない飾らない美しさが宿るイビサのバッグ。温かみに惹かれて手にされる方も多いと耳にします。その発端がスペインにあることは実はあまり知られていないかもしれません。渡欧する人も珍しかった1960年代、イビサの創設者は志を持ってイタリアへとバッグづくりの修業へと出かけました。充実した日々を終え、ヒッピーカルチャーの聖地であるスペインのイビサ島を旅したときのこと。美しい海と豊かな緑に囲まれた島の人々がつくる、革の自然な風合いを活かした素朴なバッグが心に留まりました。そして日本に帰国後、さまざまな革の表情も個性ととらえ、“持つ人を自由にする”バッグをつくろうと、インスパイアされたイビサ島からイビサと命名。以来変わらぬ誠実さを信条にしたものづくりを、50年以上にわたり続けています。

2022年の秋冬にスタートしたDiversion(ディベルシオン)シリーズでは、天然の革を主とするイビサに“柄で新しい風を”と、縁のあるスペインのゴブラン素材でバッグをデザインしました。繊維産業が盛んなバレンシア州アリカンテで40年以上の歴史を持ち、イビサではすでに20年近く扱っている信頼のテキスタイルメーカー、フラウペレス社のファブリックを採用。しっかりと地厚で、長繊維で織られているため擦れても毛羽立ちが少ない点など、強度的にもバッグに適していることに着目しました。約250種にも及ぶ柄からデザイナー自ら選ぶ過程を楽しみながらも多様な女性の声もリサーチ。その結果、直線よりは曲線、シンメトリーよりはアシンメトリーな柄がイビサらしいと判断し、それも意識した柄に絞り込んでいます。

柄の魅力を、レザーへのこだわりとともに - Diversion ディベルシオン

柄の魅力を最大限に活かした、スペインのポジティブな空気感を纏うラフでリラックスしたムードが魅力のディベルシオンシリーズ。その分、使い勝手への気配りはこれまで以上。女性が日常バッグに入れて持ち運ぶアイテムを想定し、シーンに合わせてサイズを設定。味気ない直線ではなく、優しいRラインにし、パイピングとハンドルにイビサならではのレザーワークを施しました。ハンドルを固定する革には通常より小さな玉カシメという真鍮パーツをあしらい、馴染みながらも華やぐ光沢感をプラス。さらには柄を邪魔しない上質なレザーを極限まで削ぎ、柔らかな手触りに仕上げています。

レザーを配することできちんとしたバッグの印象を保ちながら、手にして驚くのは持っていることを忘れるほどの軽さ。それが叶うのはこのレザーのあしらい方にもあるのです。そもそもイビサのバッグは軽さに定評がありますが、一般的なハンドバッグの重さが平均750gなのに対して、このディベルシオンシリーズのハンドバッグは300~400gという驚異の軽さを実現しています。また触れたり、擦れたりする部分にレザーを使っているのはリペアが可能だから。いいものを長く使っていただきたいという想いを込めています。

無駄をなくす心がけで

この素材はインテリアにも使用されるとあって幅が280cmと日本の織物の倍近くもあり、その分柄もダイナミック。それゆえ型ごとにバッグの柄を統一しようとすると、多くの余剰生地が出てしまいます。大きな悩みどころでしたが、無駄を出さないことも大切にするならば、一点一点柄の位置が違うことも個性と捉えようと考えました。

イビサは国内では類を見ない自社工場を持つバッグメーカーです。数年前からは働く環境の改善にも着手しており、大きな設備投資として、この生地の裁断には革新的な取り組みで世界的に知られる島精機のマシンを導入。従来の複数の金型を使った裁断からデータ管理することで短時間で複数枚をカットできる画期的な仕組みへの転換により、ロスを減らすと同時にスタッフの負担も軽減しています。反面、素材の表情の見極めが必要な革の裁断などは、人間の感覚を大切にして、デジタルとアナログの両輪で自社工場を日々進化させているのです。